2015年8月26日水曜日

夏の終わりに


急に涼しくなりました。今年は夏休み前と最中における、理科で遊ぼう会の講座がいつもより多かった(12件)のですが、予定を何とかこなしまた。今、どっと疲れが出ています。

今夏の始めは、ちかしい若い者、更に高校時代からずっと親しい友人の奥さんがともに病を克服できずに他界。どちらも、残された者達がしゃんとして居てくれることが救いだが、前者のようなことはもうあって欲しくない。後者のようなケースはこれから増えるだろう。そういう歳なのだ。どんな事があっても、へこたれずに、やれること、やりたいことを続けることだと思った。そんな示唆をくれた友に多謝。

それにしても、戦後70年の首相の談話には、ガッカリした。「自分はそうは思ってないけど、こう言わざるを得ない。」というのがありありとしていて、なんと潔くないことかと思った。首相という人格は首相になった人そのままでは有り得ない。首相は歴史を背負いこんでいる。彼はその覚悟があるんだろうに。モット首相の言葉として潔い発言をしていれば「後世の子供に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」というくだりにしても、少しは、唐突感の無い、活き活きした言葉として伝えられたのではないかと思った。相手から「もういいですよ、十分です」と言わしめるような状況にないことをどれだけ踏まえているだろうか?
我々は、先の大戦前には、朝鮮は併合し、中国を侵略した加害の立場であった。欧米列強からは追い詰められた形だったが、対等な戦いを挑んだ、そしてソ連からは不可侵条約を一方的に破棄された被害の立場である。この3ッつの違いを明確にして、区別する必要があると思う。
歴史認識と云う言葉が、最近、いや米ソ冷戦の終結後に、急に言われるようになり、何で今ごろになってと、思ったことがあるが、前にもふれたが、戦後、東西の厳しい冷戦の対決の中、 キャロル・グラックさんが言ったように、我々は米国の庇護下に在って、害を加えた国々と向き合わないままで来たし、戦後の疲弊した状況から速く復興し、繁栄を獲得した。
一衣帯水と言っていたが、日本海の波が高すぎて心通わすすべが無いかのようになってしまった。 歴史認識の問題が世界中で顕在化したのは、EU統合にあたって、ホロコーストが(我々日本はそこまでやっていないと云われるが)がヨーロッパ共通の記憶となり共通の認識が持てるように教育も行われたが、アジアでは全く状況は違ってしまっている。 キャロル・グラックさんの「敗戦後70年たつというのに、「戦後」という言葉が語られるのはそれほど、この時代は日本にとって居心地のいい時代だったかともいえるのではないか。」と、皮肉めいて言われるのには理があると思う。
その居心地の良さは冷戦の崩壊によって消え、日米関係だけが唯一の重要な国際関係ではなくなり、アジアと向き合わなければならなくなった。本当は敗戦直後から日本政府が戦争の記憶と正面から取り組まねばならなかったのを、先延ばしし、今頃になって取り組まなければならなくなったといえる。繰り言を言ってもしょうがないが、そして国際情勢がそれを許さなかったのであろうが、戦後すぐ近隣諸国と向き合い共に復興をしてきたら、日本の復興は遅れただろうけれども、もっと互いに理解しあえる国どうしであったかも知れない。

つまるところ、アジア近隣諸国にはまだ本当に大事なこと、「もういいですよ、十分です」と言わしめるような事が出来て居るのだろうか?日本の戦後の復興ぶりを見て、どう思うか。自分が逆の立場だったらどう思うか?そんな思いがよぎる。心を通わせる、理解をしあえるような環境を作る必要を感じる。
高校時代の親しい友人が、くれたメールに、「歴史家であるE.H.Carrの「歴史とは終わる事なき過去と現代の対話である」という言葉がありますが、現在を語るときには過去を捨象出来ません。今迄の日本が現在の繁栄に浮かれて過去を全く忘れてきたと思います。」という一文があった。

3 件のコメント :

匿名 さんのコメント...

確かに日本は大人になる時期に大人になれなかった気がします。
曖昧に大きくなり、 自分自身が何者なのか見失っている?
潔く非を認め、その一方でやんちゃな国や主義主張が一方的な国の
不条理をしっかり指摘できるような指導者が出てこない限り日本が
大人になれない気がします。
仕方なく、力のない私はどちらにも、誰にもつかず・・ 
ひたすら拮抗を保てるように、シーソーの支点に居て、
あっちに乗ったり、こっちに傾けたりしています。

権兵衛 さんのコメント...

今の様に、一つの政党に偏ってしまう状態はとても危険な状態だと思うのです。
最近あっちへ揺れたり、こっちへ揺れたりしましたが、その振幅が大きいので
とても心配です。私も、仰るように、揺れ過ぎとなることに加担することが無い
と思う方に、心に念じながら投票しています。

権兵衛 さんのコメント...

>曖昧に大きくなり、 自分自身が何者なのか見失っている?
>潔く非を認め、その一方でやんちゃな国や主義主張が一方的な国の
>不条理をしっかり指摘できるような指導者が出てこない限り日本が
>大人になれない気がします。
自分自身が何者なのか、見失っていると思います。
潔く非を認めることは決して卑屈になることではないですね。
きちんとなすべきを成し、堂々としていれば、自然と世界から尊敬
されるのではないでしょうか。
”やんちゃな国や主義主張が一方的な国”も世界の中の住人。
周りを見なければならなくなるでしょう。