2020年8月10日月曜日

ビタミンCたっぷりなものは?II

嘗て、鬼畜米英、欲しがりません勝つまでは、などと国民が煽られ、呪文のように唱え流されざるを得ない、一つの体制と化した時代があった。軍国日本の時代で、本当に良いのかといった考察はろくにしないまま戦争に突き進んだ、この体制に馴染まない人は「非国民」というレッテルを張られて苦しんだ。

翻って今の日本、見つめていると怖いなーと思う事が多々ある。チョットしたことに煽られて、冷静な考慮もないまま、買い占め騒動が起こったり、所謂「自主警察」も首長と呼ばれる人たちの発言を自分勝手に解釈して一方的なことを言う。そして内容は昔の非国民呼ばわりとのアナロジーを感じてしまう。昔の村八分にも通じるものがある。人々が簡単に右へならえをしてしまう傾向、怖いことだと思う。

今社会を席巻している、新型コロナウィルス禍の中の現象、実は感染した人の経験値は人々にとってとても重要な情報をもたらすはずである。だけど、感染した人はそれを言い出せない雰囲気にある。まさに村八分に似た扱いを受ける恐れを感じるからであろう。我々の社会は異色を敬遠する傾向にある。ちょっと変わってる人を避けたりする。それは子供の世界でもいじめという形で顕在化している。

同じようなタイプの人が集まって安心する傾向ともいえるが、本当はちっとも安心ではない。難しい問題に突き当たった時、多様な経験値を持つ人たちが、経験値を持ち寄って考えた方が、より良い答えを見出せるのではないだろうか?

ビタミンCの濃度にまつわるレモンの偏見から始めた話だが、この種の事は我々の社会にすごく多いような気がする。熟慮した上であれば、異を唱えることは実はとても重要であり、そのような人は社会にとって歓迎されるべきであろう。

教育はとても大事である。それも、知識偏重ではなく、良く考える教育である。今の教育は大改革を要すると思う。鉄は熱いうちに・・・、初等中等教育の改革は急務と思う。
もう一つ、私は昭和16年生まれ、戦後派である。戦争の大変さを身に染みて経験はしていない。でも親たちから聞かされたものはきちんと残っている。体制に流されない生き方をしないといけないとつくづく思う次第。

ビタミンCたっぷりなものは?

ビタミンCが最も濃い果物又は野菜は以下の中から選ぶとなんだろう?と幾つかの野菜、果物を挙げ、その中にレモンを入れておくと、「レモン」と返ってくることが頗る多い。ところが、レモン果汁100グラム中のビタミンCの量は赤パプリカ100グラム中のそれの1/3程度、皮もすべて含めたレモン全果100グラム中のビタミンCの量だって、赤パプリカ100グラム中のそれの2/3弱である。

理科で遊ぼう会では表記のタイトルで、赤パプリカ、グリーンピーマン、レモン果汁、レモン全果、時にキュウィーフルーツを交えてその中のビタミンCの濃さを調べる実験を提案している。希釈したヨウ素系うがい薬にビタミンC溶液を滴下すると、ある一定量でうがい薬の茶色が失われる。
上記の食物の絞り汁を一定量の希釈したうがい薬に滴下して変化の様子を比較する実験をしている。 レモンの滴下量に比べて、赤パプリカの滴下量がすごく少なくて茶色が消えて行くことに児童はびっくりする。なんでレモンのビタミンCが特に濃いと思っていたんだろうと問いながら、皆が言ってることだからとか、有名な人が言っているからと、何も調べずに鵜呑みにすることの危険性を感ずかせて授業の纏めとしている。

このテーマは素晴らしいと認めて毎年このテーマで6年生の授業に出前授業として呼んで下さる先生が居られる。曰く「学校で子どもたちが会う実験は、社会的に受け入れられていることを追認するような実験ばかり。理科で遊ぼう会のこの実験はそれと正反対ですごく良い効果がある。」というのである。私も批判精神の重要性を知る良い例だと思っており、もっと広がらないかと期待している。
何故こんなことを述べたかというと、今日のダイアモンド・オンラインの記事で
◆「うがい薬買い占め」で露呈する、日本の学校教育の致命的欠陥
http://cl.diamond.jp/c/af8haZoYaWn7yDak
に、とても気になったので取り上げた。なんで、買い占め騒ぎが起こるのか?転売目的の人もいるだろうが、大阪府知事の発言におどらされた人も少なくないはずである。
気になったのは経済協力開発機構(OECD)が、48カ国・地域の小中学校段階の教員を対象に行った『国際教員指導環境調査2018』(TALIS 2018)の質問の中で「目の前に提示された話をハイハイと鵜呑みにするのではなく、客観的事実に基づいて予断を持たず、論理的に考える力をつける」ように導いているかどうかという質問に対する回答である。そのように導いていると答えた教員の割合はアメリカは78.9%、カナダ(アルバータ)は76%、イギリス(イングランド)は67.5%、オーストラリアは69.5%、アジアでシンガポール54.1%、台湾48.8%、韓国44.8%。体制批判に敏感な中国(上海)でさえ53.3%、ロシアも59.7%なっており、48カ国の平均でみると61%だった。ところが、日本はダントツの最下位でなんと、12.6%。日本以外の国は40〜87%の範囲におさまっているのにである。
「言われたことを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で論理的に考えてみなさい」と教育するのは「世界の常識」となっていると、この結果は示すのに、日本だけは別の道を進んでいる。知識を教え込むこと(例えば識字率)、作業技術(計算技術)を教え込むことも教育の一部で大切だ。しかし、自分で考える力を持つことはもっと大切ではないか。未知なことに直面して、それを切り開いていくのは考える力だから。(後に続く)

2020年8月3日月曜日

泣けた

以前の太々しいまでの自信に満ちた彼にはそれほどの共感を覚えなかったが、昨夜は泣かされた。
照ノ富士が千秋楽に勝って優勝を決めた後、国技館の天井を見上げていた。苦難の日々が去来していたのであろう。 師匠の伊勢ケ浜(=旭富士)から優勝旗を受け取った時の、深々と本当に深々とお辞儀をする姿に、二人の間に交されたであろう無言の言葉が想像されて、また泣けた。
伊勢ケ浜部屋にはかって照国という横綱がいた。照ノ富士は照国からもらった名前であろう。体は回復したと言っても、十分ではないであろう。無茶は言わないが、嘗ては目指した横綱に向かって、行けるとこまで肉薄することを祈念する次第。