2021年6月22日火曜日

図の代わりに動画を見る本。行きつく先は?

理科で遊ぼう会は昨年はコロナ禍のために、感染数が少なくなったあいまにだけ講座開催という具合で、活動が縮小されました。余った手作り教材の無料配布、メールやZoomなどを通した相談、先生用の演示教材の寄贈などが主な対外的活動でした。そういう活動の中、設立して12年目に入ったことだし、これまでに開発し蓄積して来た手作りの教材の紹介、作製法などを中心にした本をまとめ自費出版しました。A5版182頁、会員の探求心と好奇心の結晶ともいうべき内容が詰まったものになりました。
 出来上がった中身を虚心に見ると、かなりマニアックで、技術的な専門用語も多く、私たちのような活動をする、或いはしようとしている方たちには参考になるかもしれません。一応備忘録版としました。でもその範囲だけにとどまってはもったいない。小学校の先生、かなり元気の良い子ども達が手に取って見ようという気になるぐらいまで行かないとやった甲斐がありません。是非相模原だけでなく、全国の多くの方に読んでもらいたいという思いがあります。会員の中にも学校の先生はいますが、会が強く連携している小学校の先生にも読んでいただいて、意見をもらいました。
リップサービスもありましたが、表現を平易に、一つひとつの文章を短く、一行の文字数ももうちょっと少なく、教材の作成準備よりも使い方が前面に出た方が良い、等々。中でも目を引いたのが「児童一人が一台のタブレットを見ることが出来る時代ですので、要所に動画のQRコードを入れることで、読みながら動画を見ることができます」目からうろこでした。一枚の静止画よりもずっと多くの情報がつまっています。
例えばプチプチで浮沈子の節の中で次のようなQRコードを図や写真の代わりに埋め込むという具合です。どんな教材を使うかという情報の他に、私達がどのように児童に接しているか、どんな使い道があるか、示唆を与えるという意味で静止画よりは情報に富んでいます。

 そんなこんなで、表現は平易になど先生方から頂いたアドバイスを取り込み、ところどころに動画のQRコードを入れ、A5版ではなくB5版に切り替えて新たな本の作成を始めました。

 どんなものが出来るのか楽しみだなー、QRコードの取り込みはどんなふうに受け入れられるのかなーと考えていた時、フト思っちゃったのです。活字離れの憂慮が語られている現在ですが、いつか、動画のQRコードが並んでその間に接続詞とか、動画と動画の間を結びつける短文が散見されるリーフレットが出版物の主流になってしまう時代が来るのだろうかと。子供向きの絵本の話から、大人も見る動画本!!!

2021年6月19日土曜日

絵本って何歳まで?

子どもが小さかった時、絵本をずいぶん買って見せました。 ブルーナの「うさこちゃん」とかいろんな絵本は私にも記憶が残っています。
子どもは最初はそれこそ、指をさしながら、うーとかただ音を発する だけだったのに、そのうち言葉を発っしてしゃべるようになり、発育を確認できて 喜んだものでした。絵本の効用は疑う余地はありません。

デモです。小学校の1年生用ならまだしも、高学年用の教科書が絵本みたいだったら どう思います?新しい教科書を見て、私はショックを受けました。
見たのは理科の教科書ですから、実験や想定する状況を図示するのはまあ当たり前ですが、それにしても、図や写真が多く、文章が少ないのです。
設計図や概観図のような静止情報は別にして、起こってる事象を理解するための図や写真は起こってる事象の中の一つのカットでしかありません。勿論そのカットを見て想像力を働かせ考えさせることはできるでしょう。どんなカットを選ぶか、著者の心映えの所業となりますが、ドンナに精選された図であっても、それは著者の持っているイメージです。読者はその図に代表されるイメージにその後も引きずられることにならないでしょうか?

文章を読んで自分でイメージを浮かべ考えることは、自分で考え、自分の言葉で表現する、ひいては独創性を養うに通じて、とても重要ではないかと思うのです。そして、自分で表現する力をつけることも、独創性を発揮するのにとても重要だと思うのです。

勿論図や写真は大づかみにパッと情報をつかむのに重要であることは確かです。でも過ぎたるは及ばざるがごとしで、高学年用の絵本のような教科書は改善の余地があるなーと思いました。絵本のような教科書を見た後、欧米のように皆で議論する場があれば別ですが、何時だったか書いたように、そうゆう機会は少ないようです。

もっと危惧するのは、動画のQRコードだらけで、文章らしい文章なしの時代が来るかもしれません。次号に述べたいと思います。