2014年4月10日木曜日

英雄は戦争にでることで、自己から逃避する;イーゴリ公

本日、新宿ピカデリーで上映されている、「イーゴリ公」(メトロポリタン歌劇場のライブビューイング)を見てきました。この歌劇はボロディンの遺作でしかも未完成であったものを、リムスキー=コルサコフとグラズノフの手により完成されたもの。
今回のディミトリ・チェルニアコフの新演出は幕が開く前に”英雄は戦争にでることで、自己から逃避する”が英文で幕に映し出され、るとこらから始まる。南方から圧迫するポロベンツ人(韃靼人)を討つとして今のキエフ付近を支配していたイーゴリ公は勇んで出陣し、破れ、捕虜となる。真っ赤なケシの造花が舞台一面に咲き乱れるなかで、繰り広げられる、虜囚の身となったイーゴリ公の状況が、うつつと頭の中の幻想を織り交ぜて描かれていた。実に合唱が多い。よく知られたポロベンツ人(韃靼人)の踊りもこの幕で演奏される。いろんな演出版がYouTubeには載っているが、ここはせっかくなのでMET版=https://www.youtube.com/watch?v=qT5nhpyEmrcを; 話は、イーゴリ公留守中の事件や、その後イーゴリ公の故地がポロベンツ人に攻め込まれる。ポロベンツ人から逃れたイーゴリ公が帰国し、再建に立ち上がるという、まあよくある話ではある。作者はイーゴリ公に終幕近くに、功名心に駆られて、飛び出してしまったと語り、ロシアの諸公に力を合わせて外敵に対抗しようと歌わせている。ロシア、ウクライナから優れた歌手を呼んで作ったこの歌劇、なかなか素晴らしかった。タイトル役のバス・バリトンのアブドラザコフはさすがだった。ウクライナのソプラノ;オクサナ・ディーカ(上品な美しさが心に残る)、来期はMETでカルメンを演じることになっているという、メゾソプラノのラチヴェリシュヴィリなどなど、主役級がわきを固めてなかなかのものだった。

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