2011年3月27日日曜日

空中の塵の拡散予測は気象庁で出来るはずなんだけど

日本のお役所という所は前例がないとなかなか動かないとよく言われる。確かに前例があると、責任を”前例”に押し付けて(”前例”に従うことが適切であると判断する事の責任は何処かへ置き忘れて)安心してやれるということがあり得よう。だけど、進歩というものは何時も前例を破ってこそ生まれるのではないだろうか。
前例にこだわっているということは、多分、自分が責任を持つからやれと、部下に言える人がいないのだと考えられる。

最近、友人から、ドイツの気象局が福島第一原発付近の大気中の塵の拡散に関するシミュレーション情報が出てるとURLを教えてもらった:http://www.dwd.de/

時折覗きに行くが、情報は徐々に増えている。今では6時間おきぐらいの間隔での拡散の変化の様子を一両日(表示期間も変わるみたい)にわたって情報も表示している。(クリック可)

仲間のMLにドイツ気象局のURLを紹介して、日本の気象庁でもやってくれるかもしれないと記したのだが、お仲間のS氏が以下の事を知らせてきた。S氏の知人が気象庁に問い合わせたら、放射能関係は管轄外なので、文科省に聞いてくれと言われた。さらに火山噴火による噴煙情報は気象庁が出してるが、と食い下がったら、放射能を測定してないのでという返事だとか。更に文科省に聞いたら、他の形で情報を出してるので、それを見てくれという返事だったそうである。日本発のこの種のシミュレーション情報を私は知らない。
ドイツ気象局の情報は放射能の大きさを表示してはいない。福島第一原発付近の塵の拡散だけを追っていて、火山噴火の噴煙拡散の情報とほぼ同等と考えられる。

日本の気象庁はドイツ気象局のやってることと同等、或いはそれ以上の事が出来るポテンシャルを持ってるはずなのに、やらない。高価ではあるが、高速で大きなコンピュータを使える事の価値を国民に知らせる絶好の機会なのに。

結局は自分が責任を持つからやれと部下に対して言える人、決断する人がいないのだろう。折角の能力が生かされない。その意味において”無能”な集団なのです。本当に残念なことながら。
(勿論そうじゃない方々もおられる。一事が万事ではない。元消防署長をされた方が、あの現場で働けと命じなければならなかった後輩たちに思いをはせておられたことを忘れがたいこととして心に刻んだ。)

日本の教育の場では知育に多くのエネルギーが注がれてきた。しかし、指示に従って見事に仕事が出来るだけでなく、自分で深く考える力を持つ人、置かれたその場その場で、寄ってきたる結果に責任を持って判断し実行する決断力を持つ人々をもっともっと沢山育つよう力を注がねばならないと思う。それをおざなりにしてきた教育システムの真っただ中にいたことに忸怩たる思いがある。

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