2020年6月17日水曜日

新聞第一面には喜び溢れる記事を

6月14日の朝日新聞の総合3のページの「日曜に想う」に書かれた編集委員の福島申二氏の一文を面白く拝見した。
その話題の書き出しのところだけでも取り上げて見たくなった。「アメリカとは、最高裁判所の長官がこんな名言を残す国でもある。」と書き出す。その名言とは「私はいつも新聞をスポーツ面から開いて読む。そこには人間の成し遂げたことが載っている。1面は人間のしでかした失敗ばかりだ」
いやはや、確かにその日の朝日新聞の第一面のトップ記事は河井夫妻に関する国会閉会直後の検察による立件にかかわる記事であった。 そして、スポーツ面は球春じゃなくって球夏の記事の中にあって、トップ記事はオリンピック7人制ラグビー出場を目指していた福岡氏がそれを断念するという記事であった。氏がワールドカップ日本大会でアイルランドのバックス陣を振り切って、相手ゴールのど真ん中に飛び込んだトライは忘れられないシーンだが、その記事にも今まさにゴールに飛び込もうとする氏の写真が載っていた。ラグビーの代表を目指し続けても、きっと大きな成果を得ると思われるが、氏は新しい道を目指すという。氏がこれから目指す医学の道は決して容易なものではないであろう。氏の素晴らしい決断と、その思いが是非、成し遂げられんことを祈念する次第である。

さて翻って、もう一度第一面に戻ってみた。河井さんの記事の下に、待ちわびた生の響きという見出しで、京都フィルハーモニー室内合奏団が京都コンサートホールで演奏会を開いたという記事だった。定員500人の会場に100人限定とし、演奏家も管楽器を別にしてマスクをしての演奏。決して楽なことではなかったはず。聴衆は久しぶりの生の音の響きに感激したというし、楽団は練習もままならなかった筈だが、演奏会にこぎつけ実施できた、それこそ成し遂げた喜びに浸ったに違いない。しでかしちゃった記事なんかより、ずっと読んで楽しい。トップ記事にすべきじゃないかと思ったほどである。
しでかしちゃった記事を読んで、笑ったり、くさしたりするより、成し遂げられた記事を読んで共感し、称え喜び合いたい。そう云うことが普通になる、そんな社会でありたい。いつの日か、しでかしちゃった記事が隅っこに追いやられ、地味でも社会に喜びと活力を生む記事が一面を飾るようになってほしいものだと思った事だった。
願わくば記者さん!福岡氏が医学の世界でも頑張り、何かの成果を社会に報告できるようになった暁には一面トップ記事にその頑張りと成果を紹介されんことを切に願う。

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