2019年10月30日水曜日

共通試験 おお虚け

いま、共通テストなるものを考えて、腹を立てている。
最も大きな問題はどのように取り扱うのが正しいかという慎重な検討もないまま 民間試験の導入をしようとしていることである。

複数の民間試験から受験者が選んで受験する。受験費用が異なるうえ、試験の内容の程度 も同程度である保証は全くない。
・どの試験を選ぶかという点において、家庭の経済状況が反映されることになろう。
・基準があやふやなまま、学生の能力が平等に判断されないという大問題が生じる。
経済格差がもたらす不平等、あやふやな基準によってもたらされる不平等が、受験生個人個人を襲う。

だけど問題はこれだけだろうか?この試験、”共通”と名打つように、国公立大学を目指す学生は皆等しく受ける 事になっている。大学に入るのに一定の能力を求められる以上、試験は一つの手段であるとしても、今回提案されたような 試験の結果 を用いて選別することは、将来を継ぐ若い人たちの勉学への機会をアヤフヤな基準で決めることであり、 とても容認できることではない。拙速は避け、もっとじっくり考えて中身をよく考えて、進めるべきである。

このまま進めることは、まさに国を危うくする、国を誤ることと言わざるを得ない。ましてや、国の教育に携わる部門の責任者たる 文部科学大臣ともあろう者が、「身の丈に応じて頑張れ」とは言語道断である。昔、元首相の故池田勇人氏が蔵相時代に 「貧乏人は麦を食え」と解釈される差別的発言(本当は、「所得の少ない方は麦、所得の多い方はコメを食うというような経済原則に沿ったほうへ持っていきたい。」と言った)をして物議をかもしたが、そんなレベルとは遥かに遠い、はるかに愚かな発言で、 文科大臣なのに、教育の機会均等をうたった教育基本法も理解しない、おお虚けというほかはない。 国民や受験生に謝って済む話ではない。国の未来に対して恥じるべき発言である。 未来のために潔く退くのがせめてもの救いであろう。