2012年2月15日水曜日

新作歌劇 エンチャンテッド・アイランド 魔法の島

昨日は新宿ピカデリーで上映している、メトロポリタンオペラ、ライブビューイングを見に行って来た。英語で歌われる新作歌劇。ところが流れる音楽はヘンデルだったりビバルディーだったりする。バロックの名曲を抜粋し編曲したもので、考案者、指揮者、演出者そして出演の歌手たちも意見を述べてこの新作オペラが出来たらしい。シェイクスピアの『真夏の夜の夢』の2組の恋人たちが『テンペスト』の超自然的な島に難破、漂着し、島の魔法使いたちの葛藤の渦に巻き込まれ最後はめでたしめでたしで終わるファンタジー、ヘンデルやラモー、ヴィヴァルディなどの流麗なメロディが混じり合い幻想の世界を彩る。
メゾ・ソプラノのジョイス・ディドナート、ソプラノのダニエル・ドゥ・ニース(ギリシャ彫刻の横顔を見てるような美しさを見せる。)は素晴らしかった。ドン・ジョバンニでは、従者レポレロを演じて、将来の伸びを感じさせてくれたバス・バリトンのルカ・ピザローニも素晴らしかった。カウンター・テナー(ファルセット(裏声)で歌う)が二人登場するが、私はどうもしっくりこない。男装して女性が歌ってくれた方がましではないかと思ってしまった。プラシド・ドミンゴが海神ネプチューン役で登場し、健在ぶりを見せてくれた。

考案者のあらすじ解説

先行映像1(ジョイス・ディドナート)
先行映像2(ダニエル・ドゥ・ニース)
先行映像3(デイビッド・ダニエルズ(カウンターテナー))

ジョイス・ディドナートが恋を失った息子(ルカ・ピザローニが演じる)に、「親と言うものは子が悲しむ時は、それをじーっと見つめ、心を寄せるしかない」としみじみと歌うところに、ホロっとしてしまい、ジョイスのファンになってしまった。

ダニエル・ドゥ・ニースは流石のバロックのスペシャリストぶりで、これはチェチーリア・バルトリの後継者狙いかと思ってしまう。

2 件のコメント :

木の実 さんのコメント...

新作オペラで、これだけの観客が入るのは、METならではでしょうね。
ストーリーを作り、ストーリーに合ったバロック音楽をつなぎ合わせて、オペラを作る。
凄い労力と冒険だった事だと思います。
歌手も歌も衣装も舞台装置の隅々まで素晴らしかったです。
ドミンゴがネプチューンを演じる事で、スタッフも元気づき、「再演の時は、もう1曲位歌いたい。」というドミンゴの言葉に「エンチャッテッド・アイランド」を必ず成功させるぞという皆の意気込みを感じました。

権兵衛 さんのコメント...

私が行った時もすごく混んでいました。開始ギリギリに飛びこんだら、あにはからんや、前の3列しか空いてないという具合でした。
ドミンゴは、間違いなく私と同じ年なのですが、大したものと思いました。
これからも、考案者や演出家、歌手たちが試行錯誤しながら、作り上げていくのでしょうね。視聴する側にも、それを楽しむ仕方があるんだなーと思いました。