2011年7月19日火曜日

なんと、たおやかな!

なでしこジャパンと云う名称を新聞で見るようになったころだったか、女子サッカーの国際試合をテレビ観戦したことがあった。大変失礼ながら、日本チームに、この人本当に女性?と思うほど、動きが際立った選手がいた。米国でプレイ後、帰国してそれほど時が経っていない澤選手だった。
あれから数年たったが、女子W杯決勝はテレビで始めっから最後まで見た。今度は澤さんだけが特別に際立つようなこともなく、全員によるすごい試合を見せてもらった。

試合後のトロフィーを持って飛び回る選手たちの姿は感動的だった。でも、もっとジーンとくるシーンがあった。澤選手が、個人表彰を受け、金色の”靴”を手にした時の姿だった。金の”靴”を受け取って、FIFAの幹部と握手する間はとてもにこやかだったのに、横にずれて写真を撮る段階になって、カメラの方列の方に何かは言うが、笑顔は消えていた。夢を実現して、その上個人の最高の賞を得て、喜びを表現してもいいのに、どうしたのかなと思っていたら、横から彼女の肩に手がかかった。別の色の”靴”を受けたワンバック選手だった。ワンバックは澤の肩を抱き背をかがめ柔和な顔をしている。多分こうすれば澤が柔らかな表情をすると思ったのではないだろうか。澤はと云うと喜びを奥にしまったままの姿だった。思いを馳せているのだ、自分を育ててくれたアメリカのサッカー界の代表的な選手、しかも互いに認め合う相手の心に。
言葉は交わさなくっても、たがいに通じあうのだろう。美しいものを見たと思った。滞米3度、どんなに実力があっても、苦闘することもあったろうし、苦悩することもあったろう。そしてその間に培ったものはサッカーの枠を越えて大きいものであったに違いない。それを垣間見せてもらったような気がした。インタビューに答える姿もとても素晴らしい、力ずよさと優しさに満ちたものだった。

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