理科で遊ぼう会では表記のタイトルで、赤パプリカ、グリーンピーマン、レモン果汁、レモン全果、時にキュウィーフルーツを交えてその中のビタミンCの濃さを調べる実験を提案している。希釈したヨウ素系うがい薬にビタミンC溶液を滴下すると、ある一定量でうがい薬の茶色が失われる。
上記の食物の絞り汁を一定量の希釈したうがい薬に滴下して変化の様子を比較する実験をしている。 レモンの滴下量に比べて、赤パプリカの滴下量がすごく少なくて茶色が消えて行くことに児童はびっくりする。なんでレモンのビタミンCが特に濃いと思っていたんだろうと問いながら、皆が言ってることだからとか、有名な人が言っているからと、何も調べずに鵜呑みにすることの危険性を感ずかせて授業の纏めとしている。
このテーマは素晴らしいと認めて毎年このテーマで6年生の授業に出前授業として呼んで下さる先生が居られる。曰く「学校で子どもたちが会う実験は、社会的に受け入れられていることを追認するような実験ばかり。理科で遊ぼう会のこの実験はそれと正反対ですごく良い効果がある。」というのである。私も批判精神の重要性を知る良い例だと思っており、もっと広がらないかと期待している。
何故こんなことを述べたかというと、今日のダイアモンド・オンラインの記事で
http://cl.diamond.jp/c/af8haZoYaWn7yDak
気になったのは経済協力開発機構(OECD)が、48カ国・地域の小中学校段階の教員を対象に行った『国際教員指導環境調査2018』(TALIS 2018)の質問の中で「目の前に提示された話をハイハイと鵜呑みにするのではなく、客観的事実に基づいて予断を持たず、論理的に考える力をつける」ように導いているかどうかという質問に対する回答である。そのように導いていると答えた教員の割合はアメリカは78.9%、カナダ(アルバータ)は76%、イギリス(イングランド)は67.5%、オーストラリアは69.5%、アジアでシンガポール54.1%、台湾48.8%、韓国44.8%。体制批判に敏感な中国(上海)でさえ53.3%、ロシアも59.7%なっており、48カ国の平均でみると61%だった。ところが、日本はダントツの最下位でなんと、12.6%。日本以外の国は40〜87%の範囲におさまっているのにである。
「言われたことを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で論理的に考えてみなさい」と教育するのは「世界の常識」となっていると、この結果は示すのに、日本だけは別の道を進んでいる。知識を教え込むこと(例えば識字率)、作業技術(計算技術)を教え込むことも教育の一部で大切だ。しかし、自分で考える力を持つことはもっと大切ではないか。未知なことに直面して、それを切り開いていくのは考える力だから。(後に続く)
2 件のコメント :
NHKの奇跡の授業 という番組が大好きです。
子供たちの成績の伸び悩みを世界のトップコーチやアスリートが解決し素晴らしい成績をもたらす、という番組です。
その中でどの放送回でもほぼ共通して
「子供たちの自らの考えを引き出す。自分で発見させるのが大切」
とトップコーチたちが言います。
逆を言えば、監督など大人たちが結論を教え、子供たちの成績が伸び悩んでいるんです。
横並びの考え、子供の個性がないって事なんです。
権兵衛さんの言葉をうんうんとうなづいて読んでしまいます。
昨年近所の小学校で公開の授業が行われました。文科省からも一人役人が来るのです。5年生のある授業の中で先生は子ども達の測定結果をまとめて発表させ、集約しようとしていました。聞いていると中々楽しいのですが、ある元気の良い子が測定結果に一部教科書に書いてある事からずれる傾向を見出しました。先生は一応黒板に彼の発言を書くことは書くのですが、纏めでは触れませんでした。
実は教科書に書いてあることは、実験がある条件を満たしている場合になり立つことなのですが、やり方次第ではずれていくことがあり得て、彼は正にそこに気づいたようでした。「何故かは分からないけど、理由があると思う」と彼は主張しましたが、取り上げられることはありませんでした。
先生にそこを掘り下げる余裕はなかったと思います。「将来詳しく勉強すると分かってくることかもしれない」ぐらい言ってほしかったと思いました。
実は彼は、小学生には難しいことに気づいたのですが、「君はとても大切な傾向に気づいたんだと思う。もっと大きくなってから分かるよ。自分の考えをはっきり言うことはとても大事だと思う。」と、あとでそっと声を掛けました。
2020年8月18日 18:52
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